
発達障がいは脳機能障がいにより、社会生活に困難が生じる障がいのことをさしています。
発達障がいは外見からは分かりにくく、周りも気づいてあげることが遅くなることがあります。発達障がいの特徴は「強い個性」でもあり、その個性は十人十色です。
関わり方として、お子さまの個性を理解し、その子に合ったサポートをしていくことがとても大切です。
今回は、札幌市清田区里塚にある「こどもデイサービスセンター なごみ」が、発達障がいについて解説していきます。
親御さまの疑問を少しでも解決するために、ご活用いただけると幸いです。
発達障がいの特徴|種類により気が付く時期が異なります
発達障がいは、生後すぐには気が付かないことが多く、2歳頃からだんだん集団でもコミュニケーションがとれない(ASD/自閉スペクトラム症)ことから、気になり始めるかたが多いと言われています。
小学校就学前は、椅子に長く座ることも増え、その中で落ち着きがないこと(ADHD/注意欠如・多動症)が気になりはじめる時期です。
小学生になると、学習面で極端な不得意なことが見つかったり(LD/学習障がい)と、発達障がいの種類により、気が付く時期が異なります。
気になったら、1人で悩まず専門機関に相談へ行ってくださいね。はじめは親御さまだけで、相談にいってみることや、電話での無料相談を利用してみるのもおすすめです!
発達障がいの種類|大きく分けて3種類ある

発達障がいは大きく分けて以下の3種類に分類されます。
- 自閉スペクトラム症(ASD)
- 注意欠如・多動症(ADHD)
- 学習障がい(LD)
自閉スペクトラム症「ASD」
自閉スペクトラム症(ASD)は、かつて「自閉症」「アスペルガー症候群」「高機能自閉症」と呼ばれていた診断名が含まれています。
自閉スペクトラム症の特徴
- コミュニケーションがうまく取れない
- 人との関わりが苦手
- (物・事柄に)強いこだわりがある
- 感覚が敏感、または鈍感など、感覚にかたよりがある
注意欠如・多動症「ADHD」
ADHDは、注意欠如多動症とも呼ばれ、「多動性」「不注意」「衝動性」3つの特性がみられる発達障がいの一つです。
特性のあらわれ方はさまざまで、多動・衝動性の傾向が極端に強かったり、多動・衝動性と不注意の特徴が、同じ割合ででることもあります。
幼いお子さまにみられる特徴と似ているため、区別することが難しく、特性は4歳〜7歳ころにはっきりしてくると言われています。
注意欠如・多動症の主な3つの特徴
- 多動性…じっと座っていられない、しゃべり続ける、話に割って入る
- 不注意…物をなくす、計算ミスが多い、いつもぼーっとしている
- 衝動性…順番が待てない、気になったら行動せずにはいられない、計画が苦手
学習障がい「LD」
学習障がい(LD)とは、知的な発達の遅れはないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうち、特定の課題の習得だけが、他に比べてうまくいかない状態です。
本格的な学習に入る小学生までは学習障がい(LD)に気づかれにくいことが多く、学習についての遅れが1〜2学年くらいあることが一般的です。
学習障がい(LD)の主な3つの種類について
読字障がい(ディスレクシア)
- 読んでいる文字や文章の意味を理解することが困難
- 音読が遅かったり、読み間違えたりする
- 文字や漢字を書くのに時間がかかる
書字障がい(ディスグラフィア)
- 文字を書くことが苦手で鏡文字になることが多い
- ね・わ・れなど形の似ている文字の区別がつきにくい
- 板書に時間がかかる
- 行やマス目からはみ出したりと、文字の大きさがバラバラ
- 文字を書くのを嫌がる
算数障がい(ディスカリキュリア)
- 数が数えられない
- 数の大きい小さいが分からない
- 計算ができない
- 九九が覚えられても使えない
- 繰り上がり・繰り下がりの計算が苦手
詳しくはこちらをご覧ください。
発達障がいの原因|生まれつきの脳の機能障がい
まだ、発達障がいの原因については解明されていない部分の多くがありますが、生まれつきの脳の機能障がいが原因と考えられています。
見た目では分からない障がいであること、本人の性格によるもの、と見過ごされ、発達障がいであることに気づいてもらえず、正しい治療を受けられないことがあります。
そのため、特徴が理解されず、生きづらさを感じながら生活を送ることになっている人も多くいます。
周りからは「自分勝手」「変わった人」と見られ、距離を取られてしまうこともあります。
特性に気づき、お子さまに合ったサポートをしていくことで、特徴が落ち着き、生きやすさを感じられます。
では、なぜ、脳の機能障がいがおこるのでしょうか?それはいろいろな要因が組み合わさっておこるといわれています。
詳しくはこちら!
発達障がいの診断方法とは?診断の流れや年齢の目安について
主な判断基準は
- アメリカ精神医学会の「DSM-5」
- 世界保健機構(WHO)の「ICD-10」
の2つです。
子どもの発達障がい、診断はどの年齢が多い?
自閉スペクトラム症(ASD)・・・診断は「3歳」が最も多い
注意欠如・多動症(ADHD)・・・診断は「8歳~10歳」が最も多い
発達障がいの診断の流れ
発達障がいの診断は、主に児童精神科や小児神経科で受けることができます。
発達障がいを専門に診療する医療機関は数が少なく、予約を入れても、みてもらえるには数ヶ月待ちということも。
診断の内容は「問診・行動観察」と「検査」を行います。診断が出るまでは、約1〜2ヶ月程度かかることが多いようです。
自治体の発達相談窓口や療育機関に連絡し、普段の生活での悩みや課題について相談しはじめるのもいいかもしれません。
発達障がいの診断内容
● 問診・行動観察
お子さまの遊んでいる様子から、どんな困りごとがあるか行動観察を行ったり、うまれてから今までの成育歴について問診を行います。子どもの場合は保護者が対応することが多いです。
●発達検査
発達検査とは、お子さまの心身の発達度合いを調べる検査のことです。本人にどのような発達の特徴や困りごとがあるかを客観的に判断するために、用いられます。さまざまな側面から子どもの発達度合いをチェックすることで、助けが必要な部分を見つけることができる検査です。
● 合併する症状を診断するための検査
・知能検査
心理検査のひとつで、精神年齢、知能指数(IQ)、知能偏差値などによって測定されます。知能検査を行うことで、発達障がいと知的障がいが合併しているのかを調べます。
・脳波検査
発達障がいの中には、てんかんとの合併リスクがあります。必要に応じて、脳波に異常がないかどうか、CTやMRIをとり脳波検査を行うことがあります。
・鑑別のための検査
発達障がいの症状と似ている障がいを見分けるための検査です。遺伝子検査や血液検査など、識別のためのさまざまな検査を行う場合があります。
※各医療機関によって異なりますので、あくまでご参考までにお願いいたします。
発達障がいのお子さまに合わせた接し方
お子さまの特性に合わせて、分かりやすい表現を用いたり、図解や絵カードなどで見本をみせたりなど、お子さまにとって理解しやすい方法で、伝えていくことが大切です。
また、できないことを叱るのではなく、たくさんほめてあげてください。家庭では、特別扱いするくらいがちょうどよいですよ。
接し方のポイント①「指示はひとつずつ簡潔に」
してほしいことが複数あるときは、複数の事を同時に伝えると、最初の言葉を聞き逃してしまうことがあります。
「宿題をした後に、お風呂にはいってね。」と伝えると、最初の言葉を聞き逃してしまい、すぐお風呂に入ろうとしてしまうことがあります。
「まずは、宿題をしよう!」と指示は1つずつ行ってください。
接し方のポイント②「注意をひいてから、具体的に」
おもちゃを片づけをしてほしいとき
後ろから「部屋をちゃんと片付けてね!」と伝えたが、動いてくれずイライラしてしまった!という経験はないでしょうか?
親御さまの言葉に、お子さまが、気づくことができていない場合があります。
お子さまが違うことに集中している時は、正面に行き、「これから伝えるね!」と注意を引いてから「この箱に、床に落ちているおもちゃを片づけてね!」と具体的に伝えることがポイントです。
接し方のポイント③「ほめることを大切に」
発達に特性があるお子さまは叱られることが多くあります。しかし叱るより、ほめることを大切にしてほしいと思います。ほめられることは、誰にとっても嬉しいことですよね!
たくさんほめて良いところを伸ばしてあげてください。
ほめ方のポイント
- ストレートな言い方で伝える
「すごいね!」「がんばったね!」など少し大げさなくらいに、ほめてみましょう! - その場でほめる
「あのときのあれが良かった」とほめても、何に対してほめられているか分からないことがあります。できなかったことができたときには、その場で、すかさずほめてください。 - ほめるハードルをさげる
ふつうの人ができて当たり前だと思うことも、思いっきりほめてあげてください。
「食事の時に1回も席を立たなかった。」など日常の小さい出来事もほめるタイミングだと思い、ほめポイントを逃さないことが大切です。
詳しくはこちら
発達障がいかも?と思った時の相談先

もし不安に感じた場合、専門または地域の機関に相談する方法があります。一人で悩まず、まずは理解ある方へ相談してみることが大切です。
専門の医療機関
子どもの場合、診断は児童精神科や小児神経科などで受けることができます。
発達障がいを専門に診療しているかなど、受診する前に事前に確認しておきましょう。
地域の相談機関
・発達障がい者支援センター
発達障がいを持つ子ども・その家族からの相談を受け付けています。特に発達障がいに関しての知識が豊富な職員が相談にのってくれます。お子さまとの関わり方・特徴・療育についても相談にのってくれ、助言してくれます。また、専門機関や医療機関との連携の仲介もしてくれます。
・保健所・保健センター
各市区町村で設置されている保健センターでは、発達障がいの相談を受け付けてくれます。
・児童相談所
虐待相談などのイメージが強くありますが、児童相談所でも発達障がいについての相談を受け付けています。子どもの気になる事や不安に思うことなど、専門的な知識が豊富な職員に相談できます。
・子育て支援センター
地域自治体が運営している子育て支援センターでは、子育てに関する相談やサポートも行ってくれます。発達障がいの相談だけでなく、子どもと親の交流をもつ交流の場でもあります。
まとめ
発達障がいは外見からは分かりにくく、周りも気づいてあげることが遅くなってしまいがちです。特徴から相談先までを、まとめてありますので、状況に応じた情報を見つけてもらえると幸いです。
発達障がいは、強い個性で、その個性は十人十色です。お子さまの個性を理解し、その子に合ったサポートはとても重要です。
日々、創意工夫を行い、お子さまをサポートされている親御さまへ。
いつもお疲れさまです。
札幌市清田区里塚にある放課後等デイサービス「こどもディサービスセンター なごみ」では、発達に課題のある小学校1年生から18歳まで「書道・学習サポート・食育・花育・感覚統合」などを通しお子さまへのサポートをおこなっています。
作業療法士や専門家とのチームを組み、お子さまの個性に合わせた支援をすることを強みとしています。
不安を抱えた親御様たちの不安をわずかでも取り除ける場になるようサポートさせて頂きます。療育の体験をしていただくこともできます。お近くの方は、お気軽にお問い合わせください。
「こどもデイサービスセンター なごみ」は親御さまを応援しています。
ご相談はこちら【参考資料:書籍】
『イラスト図解 発達障害の子どもの心と行動がわかる本』田中康雄/監修、西東社/刊
『発達障害の基礎知識』宮尾 益知/監修、オーク発達サポート/取材協力、河出書房新社/刊