
発達障がいのあるお子さまの食事で「偏食」や「スムーズに食べない」などのお悩みをもつ親御さんも多いのではないでしょうか?
発達障がいのお子さまは食事に関して「見た目が嫌い」「臭いが気になる」など過敏に嫌うことが多いです。
特に自閉症スペクトラム症(ASD)の特性のあるお子さまの場合には、偏食の原因が特性によるものであることがあります。
この記事では、札幌市清田区里塚にある児童発達支援・放課後等デイサービス「こどもデイサービスセンター なごみ」が発達障がいのお子さまの偏食など食事のサポート方法についてご紹介します。
発達障がいの特性による食事に関する悩みの原因とは?

発達障がいがあるお子さまは特性によって「食事」に関する苦手が多く「わがまま」ではなく「個性」であり仕方のないことです。
発達障がいのお子さまには、一般的な食事のしつけが通用しないことが多いでしょう。
むしろ配慮をしない指導をすることで、お子さまに大きなストレスや苦痛を与えてしまうことがあります。
そのため、お子さまの特性にあわせた取り組みがとても大切です。
どんな個性に原因があるのかご紹介していきます
感覚過敏による6つの原因(自閉スペクトラム症/ASD)
感覚過敏は音や光、触覚や味覚、匂いなどの刺激に対して過剰な反応や過敏な行動が現れます。
神経発達の問題や神経系の異常、発達障がいなどがある場合に引き起こされる症状です。
お子さまが何に対して過敏に反応してしまっているのか理解しておくことが大切です。
偏食の原因ー①視覚過敏
視覚過敏は料理の見た目で判断し、色や形状で苦手に感じて必要以上に反応して食事を取らないことをいいます。調理方法や盛り付け、使う食器類などに工夫が必要になってきます。
例えば「イチゴの種がいっぱいで気持ち悪くて食べられない」「白い食べ物は食べるが、赤や緑の食べ物はムリ」などです。
偏食の原因ー②味覚過敏
味覚過敏は、特定の味に対して過敏な拒否反応が現れます。
例えば「辛い食べ物を食べると痛みを感じる」「酸味や苦味がある食べ物は気分が悪くなる」などです。
料理の塩味や甘味、苦味や酸味などに対して不快感を示すため、嫌がる場合は苦手な味を好きな食材と混ぜたりして味を変化させるとよいでしょう。
偏食の原因ー③触覚過敏
触覚過敏は口に入れた時の食感や温度に対して敏感になり、偏食が起こる可能性があります。
触覚過敏がある場合は食材や苦手な形の食器などを避けることもあります。
- 揚げ物の衣がチクリと刺さるようで苦手
- 口あたりがネバネバ感触、噛んだとき弾力がゴムのように感じる など
どのような食べ物の形態が苦手か、食事の時に気を付けてみてみましょう。
偏食の原因ー④嗅覚過敏
嗅覚過敏は決まった食材の匂いに対して敏感になり、偏食になってしまいます。
苦手な匂いに対して不快感を感じたり、食事を摂りたがらないこともあります。
- 料理中の匂いを嫌がる
- 納豆、キムチなど臭みのある発酵食品
- すっぱいや苦いが強く感じる など
匂いが不快だとお子さまの表情がこわばったり、行動がにぶいなどで嫌なことだと読み取れますよね。
偏食の原因ー⑤聴覚過敏
聴覚過敏がある場合は、外部からの音に対して不快な反応を示すことがあります。
音によるストレスによって食事中の集中力が切れたり、ストレスがかかることで食欲が低下してしまったりする可能性があります。
- 食器とお箸がこすれるような音を嫌がる
- 時計の秒針の音が気になって食事に集中できない など
お子さまの行動から観察してみましょう。
偏食の原因ー⑥固有受容覚過敏
固有受容覚過敏がある場合は、身体の動きや力の入れ具合に対して敏感に反応してしまいます。
食事中は必要以上に力を入れてしまったり、逆に力が弱すぎてしまったりすることがあります。
- やわらかい、硬い料理など食事をする際の力加減が難しい
- モノを落としたりこぼしたりしやすい など
上手に食べられないことから偏食につながる可能性もあるので、食べやすいように対策するといいですね。
こだわりが強いという特性による原因(自閉スペクトラム症/ASD)
発達障がいを持つお子さまはこだわりの強さが原因である可能性もあります。
特定の食べ物しか食べてくれなかったり、決まったルーティンでの食事を好む傾向が見られます。
- 好きな料理や食べる時間、場所についてマイルールがある
- 食べたことのない料理は食べない
- 特定の食器でないと食事を嫌がる
- 食べる順番、汁物を食べてからでないとごはんが食べられない など
衝動性・多動性・不注意の特性による原因(注意欠如・多動症(ADHD)
発達障害のひとつ、注意欠如・多動症(ADHD)は、一度は耳にしたことがあるでしょう。
症状は一見「行動が変わったいるお子さま」として見過ごされることも多く、大人になってから初めて気づくケースも少なくありません。
注意欠如・多動症(ADHD)の特徴は
- 忘れ物が多い
- 集中力がなく飽きっぽい
- じっとしていられずよく動き回っている
- 静かにしていられない など
注意欠如・多動症(ADHD)の特徴は症状の組み合わせによって、以下の3つのタイプに分けることができます。
不注意優勢型
「不注意」による症状が目立つ。「ちょっとうっかりした子」として見逃されてしまうことも少なくありません。
多動性・衝動性優勢型
欲求や感情のコントロールが苦手で、じっとしていられず席を離れたりしゃべり過ぎるなど、あることが特徴です。
混合型
「不注意」と「多動性・衝動性」の特徴をあわせ持っているのが混合型です。
小学生低学年なら注意力が足りないお子さまやじっとできないお子さまは学校内でよく見られる行動ですよね。
注意欠如・多動症(ADHD)の症状は、しつけや本人の努力不足によるものではありません。
原因ははっきりとはわかっていませんが、脳機能の障がいだと考えられています。
食事の時間でみられる困りごとは多い

発達障がいがあるお子さまは「食事」に関して苦手なことが多いです。
特性が原因である場合には、「わがまま」ではなく「個性だから仕方がない」ことなので親御さんが深刻にならなくても大丈夫です。
一般的な食事のしつけが通用せず、むしろ特性に配慮しながら指導をすることが必要です。お子さまに大きなストレスや苦痛を与えないようにしましょう。
偏食にならないように一緒に考えてみよう
脳の特性によって嫌だった記憶が鮮明に残りやすい傾向があるため、食事のサポートをするときには注意するようにしましょう。
親御さん自身が、「栄養がかたよる」「まんべんなく食べさせよう」という考えを持たずに、お子さまに寄り添うことが大切です。
特に「感覚過敏」は、苦手な食べ物を口に入れるという大きなプレッシャーを感じることがあります。
どうすれば苦手を克服できるかお子さまと一緒に考えていきましょう。
遊び食べをさせないための食事に集中できる環境作り
食べ物を手でぐちゃぐちゃにしたり、食器やごはんを投げ落としたり、食事中に席を立って歩き回ったりする「遊び食べ」につい注意をしてしまう親御さんは少なくありません。
感情的にならず理由を明確に伝えて、年齢に応じた食事のルールを教えていくようにしましょう。
注意欠如・多動症(ADHD)特性によって、テレビなどの音など注意がそれるものをお子さまの視界に入れないようにする必要があります。
試し行動はお子さまの成長過程に見られる
試し行動は、「リミットテスティング」とも呼ばれています。
わざと良くない行動をして、相手の反応を観察して「どのような反応があるのか」「どこまでだと許されるのか」を確かめるための行動です。
試し行動は「自分が愛されているか」の愛着形成で大切なことです。
愛着形成が不十分だと
- 社会性や感情のコントロール、
- ストレスへの耐性が身につかない
- 成人期にメンタル面に大きな影響が出る など
親御さんの対応は状況によって愛情をもって対応したり、過剰であれば叱ったりお子さまの将来を考えて発言すると気持ちが伝わりますよ。
苦手な食材を食べるための4つの工夫

発達障がいのお子さまへ「食べること」のことで無理強いすると「食事」自体が嫌いになってしまう可能性があります。
「感覚過敏」は苦手な食材に対して、大きなプレッシャーを感じることがあります。
親御さんは「偏食はダメ」と一方的に思わず、お子さまの気持ちに寄り添うことが大切ですね。
無理に偏食をやめさせようとしないで、どうすれば苦手な感覚を克服できるのかをお子さまと一緒に考えてみましょう。
1.苦手な理由を一緒に考える
食べ物がどのようなことが苦手なのかをお子さまと話し合ってみましょう。
苦手な食材が複数ある場合には、共通点が見えてくることがあります。
- どんなにおい(嗅覚)
- どんな見た目(視覚)
- どんな味か(味覚)
- 舌触り、口当たり(触覚)
などがあります。
「苦手だけど食べてみよう」「少しだけ口に入れてみよう」とお子さまにやる気を持たせることがポイントです。
この強いやる気の源泉となるのが「ご褒美」です。いつもなら簡単に手に入らないこと(例:行きたいイベント、欲しいゲーム等)で日常的にお子さまが強く希望していることならより効果的です。
2.調理工夫をする
食材の形を変えたり、味の工夫をすることで苦手な感覚を感じにくくできます。
見た目や食感が苦手な場合は、調理法を変えてみるのもいいでしょう。
- すり下ろす
- 細かく刻む
- 好きな食べ物に混ぜる
- 揚げる・固める・煮る など
例えばイチゴの「酸味」が苦手である場合には、煮詰めてジャムにすることで酸味を和らげることができます。
工夫をすることで「食べたい、食べてみたい」とお子さまに興味を持ってほしいですね。
3.食べる習慣を「スモールステップ」で試してみる
食べる練習をスモールステップ(目標を細かく、ひとつずつこなす)で行ってみましょう。
「苦手な食べ物を口に入れてみる」から始めて飲み込むことができれば、その場ですぐにお子さまをほめます。
最初に一口食べることができたら、練習は終了します。
そのあとはだんだん量を増やして徐々に慣らしていくことで、苦手な食材を食べてみましょう。
お子さまによって状況の進み方が異なるので、繰り返していくことが大切です。
4.どうしても無理なら代替案を考える
どんなに頑張って工夫をしても、どうしても食べられないことがあります。
苦手な食材と同様な栄養素が含まれる別な食材を使ったり、サプリメントで必要な栄養素を補給するなどのケースによって代替案を検討してみましょう。
お子さまのペースで、焦らず取り組んでいきましょう。無理に強いると偏食がひどくなったり、食べること自体が嫌いになったりする場合があるので注意が必要です。
お子さまに食事を楽しい時間だと思わせるためのアプローチも重要です。
発達障がいのあるお子さまの食事で気を付けたいこと

偏食で食事量が少ないお子さまは、成長に必要な栄養面が取れているか親御さんは心配になりますよね。
発達障がいのお子さまには栄養素を摂取や腸内を整えたり、効率的に食事を取れることが理想です。
おすすめの栄養素「鉄・亜鉛」をとる
「鉄」が不足・欠乏しているだけで、「いら立つ、すぐキレる」などの情緒障害になりやすく、暴力的・攻撃的になることもあります。
また、「亜鉛」の不足・欠乏でも気分が沈みやすくなる、集中できないなどが起きることがあります。
発達障がいのお子さまは「鉄・亜鉛」が特に不足・欠乏しやすいことが研究でわかっているので、注意が必要です。
腸内環境を整える
腸内環境とは、お腹に住む「善玉菌」と「悪玉菌」のバランスのことを言います。
- 善玉菌=良い細菌で消化を助けて免疫力を上げるなどの役割
- 悪玉菌=悪い細菌できちんと消化できなかった食べ物を腐敗させ、有害物質を生みだす。有害物質が腸壁から吸収されると、身体への様々な悪影響がある。
理想的な腸内環境は「善玉菌:悪玉菌=2:1」です。
腸内環境の改善は集中力の向上や社会的交流の改善など、発達障がいの困りごとにポジティブな影響を与える可能性があります。
個人差はありますが、全体的な健康状態の向上にも寄与します。
グルテンフリーを意識して含まれている食ベ物を避ける
「グルテンフリー」とは麦に含まれるグルテンを摂取しないようにすることです。
グルテンはみんなが好きなパンやうどんに含まれています。
小麦粉に水を加えてこねたときにできる、弾力性や粘り気はグルテンによるものになります。
グルテンは脳への刺激が強く注意欠如・多動症(ADHD)や発達障がいのお子さまに影響を及ぼす傾向があり、癇癪、攻撃的、落ち着きのなさなどの症状が起こりやすいとされています。
お子さまが好きな食品にグルテンは含まれますが、小麦食品を極力取らないようにしましょう。
親御さんに心がけてもらいたい2つこと

発達障がいのお子さまを持つ上で大切なのは、悩みを親御さん一人でまたは親子間だけで抱え込まないことです。
できるだけ専門家を含む第三者に相談しましょう。
1.お子さまの特性を理解する
親御さんがお子さまの特性を理解して受け入れることです。
生活を送るときは完全にカバーできませんので、お子さまが日常生活を送る上で周囲の人から配慮を得られることは必須です。
発達障がいに伴う特性を受け入れることは、一種の「個性」としてお子さまを尊重することにつながります。結果としてお子さまの自己肯定感を高めることにもなります。
お子さまの特性を受け入れ、「どんな困りごとを抱えているのか」「何が得意で、何が苦手なのか」といった理解を深めるようにしましょう。
2.一人で抱え込まない!専門家への相談
発達障害のお子さまがいる親御さんができるサポート方法を解説します。
大切なのは悩みを親御さん一人や親子間だけで抱え込まないことです。
できるだけ専門家を含む第三者に相談しましょう。
- 乳幼児健診で相談する
- かかりつけの医師へ相談する
- 児童精神科などの専門の医療機関に相談する
- 地域のサービスを利用して相談する
「効果的な対応策を専門家と一緒に考えられる」「より良い対応策があるかも」などと思えて気が楽になると思います。
乳幼児健診で相談する
お子さまのことで気になることは相談しやすい保健師さんなどに相談してみましょう。
相談することで気持ちが楽になるだけでなく、今後のヒントが見つかることもあります。
住んでいる市町村で行われる乳幼児健診などで保健師さんに相談するのも話しやすいですよね。
かかりつけの医師へ相談する
かかりつけの医師に普段気になっている行動を相談してみましょう。
さらに受診が必要なときは専門の医療機関への紹介状を書いてくれることもあります。
児童精神科などの専門の医療機関に相談する
発達障がいの診断は専門の医療機関のみになります。
お子さまへの理解を深めるためにも、お早めにご相談されることをおすすめします。
障がいの情報収集を行うことで、より良いサポートに繋がりますよ。
お子さまの発達に詳しい専門機関(児童神経科・小児精神科・発達外来など)に相談することをおすすめします。
地域のサービスを利用して相談する
利用するお子さまの年齢によって、さまざまなサービスが受けられる地域のセンターがあります。
お子さま支援センター
お子さまと親御さんが楽しみながら交流を深めながら、成長・発達における心配や悩み事などの相談が受けられ、問題を解決する後押しをしてくれます。
保健センター
地域住民に対して乳児検診などを行い、保健サービスを提供している施設です。
発達の悩みを聞いてくれて「発達に関する検査が必要か」「療育について」などに適切な指導をしてくれます。
児童発達支援センター
主に就学前のお子さまを対象とした通所支援のひとつです。
相談窓口もあり、関係機関と連携をとってお子さまと親御さんの支援を行なってくれます。
児童相談所
聞き覚えがある機関ですが、発達についての相談も可能です。
療育手帳の判定や交付も児童相談所で行っています。
市区町村の担当課
療育サービスを利用する為には、現住所の自治体が発行する「通所受給者証」を取得する必要があります。就学前のお子さまは「児童発達支援事業」、小学生〜高校生までは「放課後等児童デイサービス」などが利用できます。
「療育」とは障がいのあるお子さまに対して将来自立して生活できるようにバックアップします。支援内容は困りごとを解決したり、個々の特性に応じた支援を行うことです。
まとめ
今回は札幌市清田区里塚にある児童発達支援・放課後等デイサービス「こどもデイサービスセンター なごみ」が発達障がいの食事に関しての原因や心構えについてお話ししました。
発達障がいは個々によって特性があり、不明点も多く親御さんは特に不安な気持ちになります。
疑問や質問は、最寄りの地域の窓口、専門機関、「こどもデイサービスセンター なごみ」にお気軽にご相談ください。
「こどもデイサービスセンター なごみ」では、療育体験も受付けております

札幌市清田区里塚にある児童発達支援・放課後等デイサービス「こどもデイサービスセンター なごみ」では、発達に課題のある0歳から18歳までの児童をお預かりし、「書道・学習サポート・食育・花育・感覚統合」などを通しお子様へのサポートをおこなっています。
不安を抱えた親御さんの不安をわずかでも取り除ける場になるようサポートさせて頂きます。療育の体験をしていただくこともできますので、お近くの方は、お気軽にお問い合わせください。
なごみの療育の様子はこちらからご覧になれます。
Instagramはこちら「こどもデイサービスセンター なごみ」は親御さまを応援しています。
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