
「学校に行きたくない」と高校生のお子さまに言われて、対応に迷う保護者の方もいるかもしれません。不登校とは、病気などの理由ではなく、何らかのきっかけによって学校に行かない(または行けない)状態が続いていることを指します。
実際、高校生の不登校は決してめずらしいことではなく、年々増加傾向にあります。「早く登校させたい」「どう接したらよいかわからない」と悩む保護者の方も多いでしょう。
この記事では、高校生の不登校の現状や背景、原因、家庭でできる対応方法について、札幌市清田区里塚にある児童発達支援・放課後等デイサービス「こどもデイサービスセンターなごみ」がわかりやすく解説します。
高校生の不登校について

高校生の不登校は、進路選択や人間関係、学業の悩みなど、思春期の中でもより複雑な背景を抱えていることが多く、家庭や学校側の対応に迷いが生じやすい傾向にあるようです。
不登校の背景や状況は、中学生とは異なる点も多く見られます。まずはその違いや、高校生の不登校の現状について詳しく見ていきましょう。
高校生の不登校、中学生の不登校との違い
中学生の不登校と比べると、高校生の場合は本人の「意思」がより強く関係していることが少なくありません。
高校は義務教育ではないため、登校しないという判断を自ら選ぶことが考えられます。
また、「無理に通わせるより、別の道を考えたほうがいいのでは」と思われることもあり、登校しない選択を本人が受け入れ、周囲も意思を尊重することも多いかもしれません。
実際に転校や退学といった選択が視野に入るのも、高校生ならではの特徴といえるでしょう。
高校生の不登校の現状
文部科学省が発表した令和5年度の調査によると、高校に在籍する生徒のうち約6万9千人が「不登校」と報告されています。
前年度に比べて増加傾向にあり、社会全体が問題の解決に向けて取り組む必要があるでしょう。本人や家庭だけで抱え込まず、学校や地域、社会全体で支えていくことが求められているのかもしれません。
高校生の不登校の主な原因
不登校の理由は一人ひとり異なりますが、高校生の場合には中学生の頃とは少し異なる背景が見られることがあります。
以下のようなきっかけが、不登校につながりやすいとされています。
- 学習内容の難易度が上がり、学業に対するプレッシャーが増すこと
- 友人関係や部活動での人間関係がうまくいかず、感じるストレス
- アルバイトやSNSなど、学校以外の世界に触れる機会が増えること
- 進路選びや将来の進学・就職に対する不安
- 他人と自分を比較して、自己肯定感が低くなること
高校生になると自立心が強くなる子も多く、もっと広い視野を持ちたいと悩むことがあるでしょう。
自分が望む環境と現実のギャップに悩み、その結果、学校生活への意欲を失ってしまう場合も少なくありません。
参考:令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について/文部科学省
不登校の高校生に親ができる6つのこと

不登校の状況は親としてもとても辛いものですが、親ができるサポートはたくさんあります。
親が実践しやすい6つの方法をご紹介します。
1.子どもの気持ちに共感する
高校生は、自分の気持ちをうまく表現できないことがあります。
学校での悩みや家での不安が混在し、自身の感情をどこに向けていいか分からないことがあるかもしれません。
お子さまの気持ちに寄り添い、共感することが大切です。「どうしたの?」「不安なことでもあるの?」と優しく声をかけ、お子さんが気持ちを伝えやすい雰囲気をつくりあげましょう。
2.子どもの話を聞き、寄り添い、頑張りを伝える
高校生は、友人関係や学業、進路など、多くのことに不安を抱えていることでしょう。
悩みに向き合い、話をしっかり聞くことは、親として重要です。
お子さまが少しでも頑張ったと感じた瞬間には、しっかりと努力を認め、「よく頑張ったね」と伝えてあげることで、自己肯定感を育むことができるでしょう。
3.自宅での生活リズムをつくる
生活リズムを整えることは、心身の健康にとって大切なことです。
高校生になると自由な時間が増え、夜更かしや昼夜逆転の生活になりがちです。毎日の起床時間や食事時間を規則正しくすることで、自然と心も身体も元気になっていくことでしょう。
安定した生活リズムは、学校への再登校にも繋がる大切な準備となります。
4.担任の先生やスクールカウンセラーに相談する
お子さまが不登校になる理由はさまざまで、学校での問題を一人で抱え込んでいることもあります。
担任の先生やスクールカウンセラーは、専門的な視点からサポートをしてくれる存在です。
お子さまがどんな状況にあるのか、どんな支援が必要なのかを相談し、学校側との連携を深めることは、よりよい解決策を見つけていきましょう。
5.保健室登校を提案する
教室に戻ることが怖かったりストレスを感じたりしている場合は、保健室登校は一つの手段です。
保健室は、心の安定を取り戻すために利用できる場です。無理に登校を強いるのではなく、少しずつ学校に慣れていくことが大切です。お子さまのペースで徐々に教室に戻れるよう、サポートしていきましょう。
6.不登校を支援している団体に相談する
不登校の子どもたちへの支援団体も多く存在します。
専門家からのアドバイスを受けることで、お子さまに最適なサポートを知ることができるでしょう。
学校以外の学びの場を提供していたり、心のケアを行うプログラムを実施していたりとさまざまな方法があるでしょう。お子さまの状況に合わせて、早期にサポートを受けることで、学校生活を再開する手助けになりそうです。
高校生の不登校で悩んだ時の相談先一覧

不登校の悩みを抱えるお子さまやそのご家族にとって、適切な相談先を見つけることはとても重要です。
専門機関に相談することで、お子さまの心のケアや学びのサポートが受けられるほか、再登校に向けた道を開く手助けにもなります。
不登校で悩んでいる際に頼れる相談先を紹介します。
スクールカウンセラー|まずは話しを聞いてもらうなら
スクールカウンセラーは、お子さまが学校で感じている不安やストレスを軽減する手助けをしてくれます。
学校内での問題に詳しく、心のケアをしてくれる専門家です。
初めて相談する場合でもお子さまが安心して話せる環境を整えてくれ、心の整理のサポートもしてくれるでしょう。
児童相談所|相談するなら
児童相談所は、子どもの福祉に関わる問題に対応する公的機関です。
お子さまの心の健康に関する悩みや家庭環境が影響している場合、適切な支援を受けられるでしょう。深刻な状況でも専門的なアドバイスを受けることが可能で、さまざまなことを相談できそうです。
フリースクール|居場所づくりなら
フリースクールは、不登校の子どもたちにとっての「居場所」となるでしょう。
規則に縛られず、自分のペースで学び、成長することができ、学校に通えなくても安心して学べる場所を提供し、学校への復帰に向けたサポートも行っているようです。
習い事|居場所づくり
習い事は、お子さまが自分のペースで学び、才能を伸ばす場所として重要です。
高校生の場合は、学校以外のコミュニティで自分の興味を追求できる場が必要なケースもあるかもしれません。
例えば、音楽や芸術、スポーツなどの活動を通じて、自信を深め、仲間と交流することができる環境が整っています。
また、習い事を通して将来どんな職種につきたいか、考えるきっかけになりそうですね。
不登校対応の塾・家庭教師|学力が気になるなら
不登校の高校生が学力を維持したり、進学準備を進めたりするためには、塾や家庭教師のサポートを受けることを考えてみましょう。
学校に通わなくても、自分のペースで学びを進めることができ、特に必要な科目に集中することができそうです。
個別対応の塾や家庭教師では、高校生一人ひとりのペースに合わせた指導が行われるため、無理なく学習を進めることが可能です。
進学や将来に対する不安を和らげながら、学力の向上を図ることができるかもしれません。
医療機関(一般内科・精神科・心療内科)|気になる症状があるなら
不登校の背景には、心身の不調が関わっている場合もあります。
高校生になると、進路や将来に対するプレッシャーが大きくなり、心身にストレスがかかりやすいケースもあるかもしれません。
一般内科や精神科、心療内科での診察を受けることで、症状の原因を明らかにし、適切なサポートを受けられるでしょう。心のケアや身体の不調を軽減するために受診してみるとよさそうです。
放課後等デイサービス|特性に合わせた学習方法
放課後等デイサービスでは、発達に特性があるお子さまへの学習支援や日常生活のサポートが行われています。
学校に通うことが難しい場合でも、安心して過ごせる環境が整っており、それぞれの特性やペースに合わせた支援が受けられます。
また、他者とのコミュニケーションを通じて社会性を育み、自信を取り戻す経験を積むことが可能です。高校生にとっても、日常生活のスキルや進学、就職に向けた準備を進める大切な場所となるでしょう。
なお、札幌市清田区里塚にある「こどもデイサービスセンターなごみ」では、幼児から高校生まで幅広い年齢層のお子さまを支援しており、個別のニーズに合わせた対応を行っています。
ご家庭の想いや不安に寄り添いながら、高校生一人ひとりに合ったサポートを提供しているため、お気軽にご相談ください。
親の会|相談や情報など同じ境遇の親とつながるなら
不登校や発達障害に関する悩みを抱えている家庭が集まる「親の会」は、共感できる仲間たちと悩みを共有し、支え合うための貴重な場所です。
情報交換を通じて、同じ状況にいる他の保護者とつながることができるでしょう。他の親と励まし合いながら、前向きにお子様を支えるための方法を見つけられるかもしれません。
高校生の不登校|札幌の相談先一覧
お子様が学校に通えない状況に直面したとき、不安や心配をひとりで抱え込むのではなく、地域の相談窓口を活用する方法もあります。
札幌市内には、支援機関がいくつかありますので、以下の相談窓口を参考にしてみてください。
●子どもアシストセンター(札幌市子どもの権利救済機関)
学校での悩みや家庭内の問題、人間関係についての相談ができる窓口です。専門の相談員が対応しており、お子様だけでなく、保護者からの相談も受け付けています。
●札幌市若者支援総合センター(Youth+センター)
進路や就労、生活の不安を抱える15歳から39歳までの若者とその家族を対象にした相談窓口です。個別対応で、カウンセラーのサポートを受けることができます。
●24時間子どもSOSダイヤル
いじめや対人関係の悩みなど、困った時に利用できる電話相談窓口です。年中無休で24時間対応しており、時間を気にせず相談できます。
●各区家庭児童相談室
子どもに関する福祉(不登校、非行など)の相談を受ける窓口です。各区に設置されており、必要に応じて支援機関と連携を取りながらサポートが提供されます。
●札幌市児童相談所
子育ての不安や、お子様の発達・行動についての心配を相談できる機関です。必要に応じた支援体制が整えられています。
札幌市:子どものための相談窓口
登校を再開せずに中退・退学を選択した場合の進路とは?

不登校が続き、登校を再開せずに中退や退学を選択した場合でも、進むべき道はたくさんあります。以下の進路は、それぞれの状況に応じて選ぶことが可能でしょう。
① 通信制高校・定時制高校へ転校する
通学を再開することが難しい場合、通信制や定時制高校への転校することもひとつの方法です。
例えば、通信制の場合は決められた授業時間に縛られることなく、自分のペースで学べることも多く、生活スタイルに合わせて勉強できそうです。
また、定時制高校は全日制の高校とは異なり、少人数制で夜間に開講していることでアルバイトや趣味を両立させやすいというメリットがあるでしょう。
社会人の方なども通学されていることから、異年齢の人々との交流も期待できそうです。
② 高卒認定試験の合格にむけて勉強する
もし高校に通うのが難しくても、高卒認定試験(旧:大検)を受けて、高校卒業資格を取得する道もあります。
自分のペースで勉強を進めることができ、必要な科目だけを集中的に学習できるでしょう。試験合格後は、大学進学や就職を視野に入れることが可能です。
③ 就職する
高校を卒業する前に社会経験を積みたいと考える場合、就職は一つの選択肢です。
若いうちから働くことは、社会人としての経験やスキルを早期に身につけるチャンスにもなります。
ただし、長期的なキャリアの選択肢を広げるために、どの業界で働きたいのかをしっかり考えてから就職することが重要です。
高校卒業後の進路
高校卒業後の進路にはいくつかの選択肢があり、個々の興味や目標に合わせた選択が求められます。それぞれの進路について紹介します。
大学進学
大学進学は、専門的な知識やスキルを学ぶための選択肢です。大学では、興味のある分野を深く学び、将来の職業に結びつけることができます。卒業後は、専門職や研究職など、多様な選択肢が広がるでしょう。
専門学校・短期大学
専門学校や短期大学では、実務的なスキルを身につけることができそうです。看護やデザイン、IT技術など、即戦力となる技術を学ぶことができ、卒業後は早期に就職できるのが特徴です。
就職
就職は、早くから社会経験を積みたい人に適しています。働きながら技術や知識を学び、キャリアを築いていくことができそうです。職場での経験は、将来の転職やキャリアアップにも繋がるでしょう。
起業・フリーランス
独立して起業したり、フリーランスとして働いたりする方法もあります。自分のスキルやアイデアを活かして自由に働くことができますが、リスク管理や自己責任が求められそうです。
ボランティア活動・留学
ボランティア活動や留学は、社会貢献や異文化体験を通じて視野を広げる機会です。新しい経験を積みながら、自分の成長に繋がるため、選択の一つとして考えてみてもよいかもしれません。
不登校のお子さまに「なごみ放課後等デイサービス」という選択肢もあります

高校生の不登校の原因は、進路選択や人間関係、学業の悩みなど複雑な要素が絡み合っています。
まずは、お子さまがなぜ不登校を選択したのかを考え、心に寄り添ったうえで対応する必要があるでしょう。また、心のケアや生活の安定を優先し、必要に応じて専門家や支援機関に相談することが大切です。
お子さまが不登校になったとき、「どう寄り添えばいいのか分からない」「家での時間の過ごし方に悩んでいる」と感じる保護者も多いのではないでしょうか。
その際は、選択肢のひとつとして「放課後等デイサービス」の利用を考えてみるのもよいかもしれません。
放課後等デイサービスは、学校へ通うことが難しいお子さまや、安心して過ごせる場所です。平日の放課後や長期休暇中などに利用でき、学習支援や生活スキルの練習、人との関わりを深める活動などが行われています。
また、不登校の状態で放課後等デイサービスに通うことで、一定の条件を満たせば学校の「出席扱い」として認められる可能性があります。
これは文部科学省が定める「出席扱い制度」に基づいており、学校外での活動が学校での出席と同等に評価される制度です。
学校以外にも「安心して通える場所がある」と感じられることは、お子さまにとっても、保護者にとっても大きな支えになります。
札幌市清田区里塚にある児童発達支援・放課後等デイサービス「こどもデイサービスセンター なごみ」では、発達に課題のある0歳から18歳までの児童をお預かりし、「書道・学習サポート・食育・花育・感覚統合」などを通しお子様へのサポートをおこなっています。
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